マラソンタイム予想法いろいろ
お役立ち今回はお役立ち系の記事(&ツール)を。書いているうちに、結構(いつも通り?)大作になっちゃいました(笑)。
「フルマラソン タイム予測」などのキーワードで、こちらの記事(【ASICSランニングラボ】タイム予測の精度は?)へやってきてくれる方々も多いのですが、こちらには具体的な予測方法等は何も書いていないので、今までかなりがっかりさせていたんじゃないかなぁ、と(^^)。
ということで、いつかちゃんとした記事を書かなきゃなぁ、などと思いつつ、もう何年もたってしまいましたね(^^;)。
ようやっとある程度整理することが出来ましたので、メジャーな方法からマイナーな方法まで計5種類をご紹介します(もちろん、調べるとまだまだ色々出てくるんですけどね(^^))。
あっ、ちなみに、具体的な計算方法には興味が無くて、結果だけが知りたいという方は、計算ツールも作ってみましたのでこちらへ(^^)。
1. マジックマイル方式(ギャロウェイ式)
Jeff Galloway氏の提唱する計算方法。
1マイル(1600m)の全力走のタイムを計測し、そのペースを元に5km,10km,ハーフマラソン,フルマラソンのペースを算出する方式。
5kmのペース = 1マイルのペース + 33秒(1kmのペースにすると + 20.6秒)
10kmのペース = 1マイルのペース × 1.15
ハーフマラソンのペース = 1マイルのペース × 1.2
フルマラソンのペース = 1マイルのペース × 1.3
参考:http://www.jeffgalloway.com/resources/gallracepredict.html
※ 気温が15度(華氏60F)くらいまでは概ねこの通りで行くとのこと。ちなみに気温が高いときの補正方法も書いてあるんですが、「5度(華氏)上がるごとに、1マイル30秒ペースダウンする」って落とし過ぎじゃね?? 華氏とマイル表記なのでいまいち感覚無いけど、キロ約18.75秒、摂氏でざくっと2.5度くらいか? 北海道マラソンも確かにへろへろになったけれど、それでもキロ1分は落ちていなかったぞ?? それとも、あちきのつたない英語力では、翻訳が間違っているのかな??
2. リーゲルタイム式
Pete Riegel さんの提唱した、ある距離のタイムを元に、目標レース(距離は任意)を走ったときの推定タイムを算出するための計算式 (「^」は累乗)
T2=T1*(D2/D1)^1.06
ここで、
T1:基準とする持ちタイム
D1:基準とする持ちタイムの距離
T2:目標レースの推定タイム
D2:目標レースの距離
例えば5kmを20分で走る人のフルマラソンでの推定ゴールタイムは、
T1=20, D1=5, D2=42.195 ということで
20分 * (42.195/5)^1.06 = 191.7分 = 3時間11分40秒 になる。
シンプルにどの距離間の変換でも出来るのが魅力的です。
3. ダニエル表
日本でもかなり有名な方法ではないかと。5km/10kmなどのレースタイムをもとに最大酸素摂取量を計算し、その最大酸素摂取量に基づいてその他の距離のタイムを算出するというもの。ASICSランニングラボのタイム予測も最大酸素摂取量を元にしたものですが、なかなか簡単に計測できるものではないので、他の距離のタイムを元に算出しましょうってことですね。
一説によると、最大酸素摂取量からのフルの予想は若者だと速く、年配だと遅い傾向があるとか??
ここでは紹介しきれませんが、単なるタイム予測だけではなく、あるタイムを目標としたときのトレーニングのペースについても言及されているのも参考になります。
難点は、表形式故に、表にあるタイムとぴたりと一致しないタイムについては近似値で求めざるを得ないという点。
詳しくはこちらのダニエル本(ダニエルズのランニング・フォーミュラ)をご参考に。
ダニエル表の具体的な値はこちらのサイト(http://www.page.sannet.ne.jp/xjr1200kn/VO2max.htm")のデータを参考にさせていただきました。上記のダニエル本には、他の距離のデータも載っていますよ♪
4.持久係数からの予測(ランナーズ式)
eA式などでもおなじみですが、持久係数とは、フルマラソンのタイムを、ハーフマラソンや10kmのタイムで割った値のこと。この値によって自分がスピード型なのか、スタミナ型なのか、言い換えればこれからよりスピードを強化していくべきなのか、スタミナを強化していくべきなのかの指標になる値です(おおざっぱにいうと、小さい値なら距離が伸びても失速が少ないということなのでスタミナ型、大きければスピードはあるけれども長い距離は持たないスピード型、と判断できます)。
一般的なランナーの持久係数はどれくらいの数字が妥当なのか、というのは諸説あるけれども、ここでは「ランナーズ2012年9月号」に載っていた下記の式(国際武道大体育学科の前河洋一教授が市民ランナーの記録をもとに算出した係数)を採用してみました。
10kmのタイム | スタミナ型の持久係数 | スピード型の持久係数 |
---|---|---|
〜30分 | 4.5 | 4.65 |
〜35分 | 4.55 | 4.7 |
〜40分 | 4.6 | 4.75 |
〜45分 | 4.7 | 4.85 |
〜50分 | 4.8 | 4.9 |
〜55分 | 4.9 | 5 |
55分〜 | 5以上 | 5以上 |
ハーフのタイム | スタミナ型の持久係数 | スピード型の持久係数 |
---|---|---|
〜1時間10分 | 2.08 | 2.12 |
〜1時間20分 | 2.12 | 2.15 |
〜1時間30分 | 2.15 | 2.18 |
〜1時間40分 | 2.18 | 2.22 |
〜1時間50分 | 2.22 | 2.3 |
〜2時間 | 2.3 | 2.4 |
2時間〜 | 2.4以上 | 2.4以上 |
5. 距離/ペースのグラフから算出
提唱者が誰かは分かりませんが、広く経験的にも知られている法則(多分)。私が現役時代(15年以上前ですが)に読んだ陸上本にも書かれていたので、一応論拠はある話ではないかと。
自分の各距離ごとのベストタイムを、横軸に距離(対数)、縦軸にペースという形でグラフにプロットすると、それらの点はほぼ一直線上に並ぶというもの。
そのことを利用して、最低2つの距離のベストタイムをプロットして直線を結び、目標とする距離の直線上の点を見れば、想定ペースが分かるはずです(3つ以上のタイムがあれば近似直線。多くの距離のデータがあればあるほど精度は増すかと)。
算出方法は面倒くさいですが、この方法の利点は、個人ごとの持久係数を考慮できるということ。
1〜3の方法はどれも、持久係数が一定である前提での法則になっていますが、実際にはスピード型の人もいるし、スタミナ型もいる。5kmのタイムが同じでも、フルマラソンになるとタイムが大きく違ってしまうことはざらにある。そうした個人差を、複数の距離のタイムを使うことで埋めることができるというのは大きなメリットかと。
4の持久係数で求める方法でもよいですが、こちらは10km、ハーフでしか適応できないし、スピード型〜スタミナ型の中で自分はどのくらいの場所に位置するのかが分かりにくいので、そういう意味で一番汎用的かなぁ、と個人的には思っています。
3つ以上の距離をプロットした場合、既存のタイムが直線より上にある場合は、全力を出し切れればもっと(直線上のレベルまでは)タイムを上げられるはずと考えることが出来ます。
また、逆に既存のタイムが直線より下にある場合は、他の距離に比べて全力を出し切れていると考えられます。ということは、直線の傾きはそのままで、一番下にある点まで直線の位置を下げてみると、それが各距離において、今現在、最大限出し切れるタイムと考えてもそう大きく違いはないんじゃないかなと。逆を言うと、それ以上のタイムを狙うのであれば、スピードの底上げが必須になってくるんじゃないかと思います。
ちなみに、左が私の自己ベストタイムでプロットしたもの、右が去年の湘南でハーフのベストを更新する1つ前の記録でプロットしたもの。これをみると、右側は見事に1直線に並んでいます。てことは、去年のハーフで記録更新したことで一皮むけて、他の距離ももっと記録が出せるはずってことかな。そして5000mはどちらにせよ直線の上、もっと狙えるはずということかな。
いかがでしたでしょう?
自分のタイムに当てはめてみた個人的な感想としては、どれも1500mのタイムが遅めに算出されるかなぁ、と。逆を言うと、私の実際の1500mのベストタイム(4'54)を元に計算すると、他の距離の予測タイムがべらぼうに速いタイムが算出されます。
5km以上の距離だと、概ね、体感、自分のタイムにも沿った結果が出ている印象です。サブスリーにも、いいところまで近づくけど後5分とか1分とかほんのわずかだけ届かないというところまで(笑)。
冒頭にも書いた通り、計算ツールも用意してみましたので、是非色々と試してみてください♪
(ツールの不具合等見つけられた方はお教えいただけると嬉しいです)
<関連する投稿>
- 【ASICSランニングラボ】タイム予測の精度は? (2009 年 4 月 26 日)
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