激戦@奥多摩渓谷駅伝
レース/大会「追っていけば、追いつける」
by 市橋有里
奥多摩駅伝を走ってきました。
青梅の山道をキロ4分近くのペースで全員が走りきらないと繰り上げスタートになってしまうという壮絶なマジ駅伝。
襷をつなげられる可能性は十分にある。でも、繰り上げになってしまう可能性はきっともっとある。
ましてや、流れをつかむための責任重大な1区。ここでしくじれば、他の5人が走る前に敗北が決まってしまう。
久しく味わったことのないギリギリの緊張感の中でのレースでした(^^)。
ノルマは1区7.4kmを30分。厳しいタイムではあるけれども、このくらいで走らないと後の区間が辛いのも事実。やれるやれないではなく、やるしかない。
久しぶりの超長文レースレポートになってしまいました(^^)。ご容赦を!
久々の突っ込みレース(スタート〜2km)
スタート前まではお仲間と和やかに過ごしていましたが、スタートラインについてからは一転、集中力をギリギリまで高めます。
そういえば、スタートはきっちりゼッケン番号順に整列させられました。トラックレース以外ではこんなの初めてです。
こんなところにもマジ駅伝の雰囲気が現れていますね。
スタート前の「○分前」「○秒前」というアナウンスに、徐々にテンションを上げていき、いよいよスタート。人数が少ないだけあって、スタートラインまでのロスも2,3秒。すぐに集団も広がって自分のペースで走れるようになります。
今年は故障に悩まされていたこともあって、序盤は抑えて後半勝負というレース展開がほとんどでしたが、今日はそんな悠長なことは言ってられません。
アップダウンが続く後半にペースを上げるなんて展開を前提にするのは、楽観主義にも程があるし、だとすれば、体力も充分、コース的にも平坦な道(または若干下り気味)が続く序盤でタイムを稼ぐしかない。
レースのスタートはほっといてもペースが上がる。集中しているレースであればなおさらです。
抑えるつもりで入ってちょうどいい、下手をすればそれでも速すぎるくらい。周りは絶対に速いので、流されず自分のペースを維持するのがセオリー。
今日は敢えてそのリミッターを外します。オーバーペースには気をつけながらも、最初から前のランナーの背中を積極的に追いかける。
結果、最初の1kmが、Garmin君計測で3分42秒。
悪くはないけれども、これだけ突っ込んでもそんなものなのか、とも。あわよくば30秒台くらい稼いでおきたいところでしたが……。
かといってこれ以上はさすがにオーバーペース。弾み気味の呼吸を整えつつ、次の1kmは3分57秒。早くもキロ4分に近づき、これ以上貯金を貯めることが出来なくなってしまいました……。
前方ランナーの背から目を離さず(2km〜5km)
普段のレースであれば、集団の中で走ったり、誰かと併走するのはできるだけ避けているのですが、今日ばかりは逆に集団の中で走りたい気分。誰かと併走したい気分。
今日みたいなハイペースのレースでは、集中力が切れた時点で終わってしまう。集中力を維持するためには、周りのランナーに引っ張ってもらうのが一番です。
だというのに、前方の集団とはやや距離が開いている。後ろともちょっと開いた感じで、追いついてくるランナーも期待薄(まぁ、追いつかれると言うことは自分より速いのだから、ついていくのも難しいのだけれど)。
それでも集団の背中から目を離さず、一歩一歩追っていく。集団そのものには追いつけなかったが、集団から脱落してくるランナーを1人かわし、2人かわしで、何とかペースを作っていく。
頭の中に思い浮かんでいたのは、市橋有里さんの「追っていけば追いつける」という言葉。追いつける、追いつける、と自分に言い聞かせながら走る。
3kmのラップが4分3秒。4分を超えてしまった。まだ残りは半分以上もある。やはりそう簡単にはことは運ばないか。はてさて、どこまで序盤の貯金で持たせることができるか??
ここまでは、登りといっても比較的なだらかなものだったのですが、これ以降は急なアップダウンが現れてくる。試走の記憶が正しければ、計3回。まずはその第一弾。
さすがにペースは落ちながらも、前のランナーの背中を見ながら、後ろから追い上げてきたランナーにしぶとく食らいつきながら、何とか駆け抜ける。
4kmのラップ、4分15秒。
ノルマから考えるとちょっと厳しいけれども、繰り上げスタートにならないためのギリギリペースは何とか維持。下りでペースを稼いで、登りはこのレベルで食い止められれば、何とか最低ラインは死守できるだろう。
その後は下り。脚は大分重くなってきているけれども、ここでペースを上げないでいつ上げる?とばかりにペースを上げます。もう半分は過ぎている。残りたった3kmちょっとだ。後は気合いじゃ(^^)。
5kmのラップ、4分6秒。相変わらず4分は超えてしまっているものの、何とかペースを戻せました。
アクシデント?(5km〜7km前後)
残り2kmちょっと。駒沢公園でカウントしても1周とちょっと。後一息だ。
、、、といったところで、身体に異変。脚でもなく、呼吸でもなく(いや、脚も呼吸も辛いは辛いんですけど、こちらは気合いで乗り越えられるレベルでした)、横っ腹がギシギシと軋み出す。八王子駅伝のときにもおこった症状(八王子駅伝の時は調整不足が原因だと思っていましたが、一体何が原因で起こっているんでしょう?)。脇腹の骨が悲鳴を上げている感覚(実際に痛んでいるのは骨ではないと思いますが)。一歩踏み込む度に衝撃が走る。
しかもここで二つ目の急な登り。何とか駆け上るが、ペースが上がらない。
おまけに、今までアドレナリンでごまかしていた、脚のダメージが蘇ってくる。アキレス腱から太腿にかけての筋肉が一気に重くなる。
集中力が切れたら今日は終わる。その集中力がここで切れかかる……。
ペースもがくんと落ち、6kmのラップは4分23秒。その後もペースは更に落ちる。おまけにそこで現れるは3回目の急な登り坂。
序盤で1人抜き、次の1人抜きと、1人ずつ抜いていったランナー達に、今度は1人ずつ抜き返されていく。
「歩きたい」と頭をよぎるけれども、当然歩くわけにはいかない。これは駅伝。自分1人のレースじゃない。ましてやまだ1区。止まるわけにはいかない。
とてもじゃないが、ノルマの30分は超えられそうにはない。それでも少しでも望みをつなぐために走る。32分くらいでつなげば、2区、3区で、まだぎりぎり何とかなる。
せめて、そのギリギリのラインまでは、つないでみせる。
抜き返していったランナーの背中を睨みつける。
目を離すものか。追いつけると信じれば追いつける。少なくとも追いつくつもりで走っている限りは、多少なりとも自分のペースを維持できる。
「追っていけば追いつける」。例え距離が開いてもその目は離さない。諦めてたまるか!
嬉しい誤算と最後の意地(7km前後〜ラスト)
ふとそこで視界に入った光景。前方に小さく映るランナーの陰。
「あれ? あの動きは襷を外しているんじゃないのか? 早めに外しているのか?」
中継地点より遙か手前で襷を外すランナーはたまにいる。このランナーもその手のランナーなのかと最初は思った。でも、もう1人襷を外しているランナーを発見。
「え? 中継所が近い?」
どうやら、今日のGarmin君は随分と距離を短めに計測していたらしい。ゴールはまだまだ先だと思っていただけに、これは嬉しい誤算。遅れて中継所の看板、そして待機しているランナーの集団がうっすらと見えてくる。
これで正真正銘、最後。腕振りを大きくしてラストスパート。ここで出し切らなかったら、走り終わって余力があるようだったら、後で絶対に後悔する。もうゴールは見えている。全身へろっへろだけど、スパートは無酸素運動。長距離のエネルギーとは別のエネルギー源だから、どんなにへたっていようと、集中力さえ残っていればそれなりのスピードは出せるものだ。
2区のランナーの青いユニフォームめがけて全力疾走。
おまけに、先ほど抜きかえされたランナーのうち、1人だけは意地で再度抜き返す。2区のランナーの背中を押しながらリレーゾーンを駆け抜け、後を託す。
最後は時計を止める余力もなく、自分のタイムがどれだけかも分からない。
ただ、どうやらノルマの30分は切って29分台では走れたらしい。途中「絶対に無理だ」と思っていた30分。Garmin君の計測誤差のせいで、どうやら自覚していたペースよりも速いペースで走れていたらしい。
走り終わってまず感じたのが、疲労感でもなく、達成感でもなく、何とか役目を果たせたという安堵感でした。
※上述の通り実際の距離より短く計測されていたので、実際のペースはもう少し速かったようです。
走り終えて
走り終わって、前述のように時計を止める間もなく、暫く沿道に座り込むこと数分。何とか歩けるようになり陣地まで歩いていった後、ビニールシートにひっくり返って横になることまた数分。そこでようやく時計がまだ動いていることに気がついて止めました。
ようやく復活し、後は仲間の快走を信じる。
お仲間の携帯に次々と入ってくる通過情報。第二中継所(2区→3区)も、ノルマ通りのタイムで通過。最難関の第三中継所(3区→4区)も無事通過したらしい。ここを通過すれば後はよほどのことがない限りまず大丈夫。後は実際に、5区→アンカーの中継と、女子の1区→2区の中継を見届けるのみです。
そして、女子の1走は想定以上の好順位で襷リレー。男子の5区→アンカーも繰り上げまで8分も余裕を残して中継。見事に目標達成しました!
今日は誰1人崩れることなく、全員が素晴らしい走りを見せてくれました。サポートメンバーの皆様含め、そして自分も含めて、本当にお疲れ様でした&ありがとうございますを伝えたいです♪
走り終わった直後は安堵感の方が大きかったですが、こうしてレースを振り返ってみて、改めて今日一日の出来事を思い出して、段々と達成感も大きくなってきました。
楽に達成できる目標でもなく、かといって逆立ちしても達成できない目標というわけでもない。全員がベストを尽くせば達成できる、でも1人でも崩れれば達成できない、今回のレースはそんな絶妙なレベルの目標だったんだと思います。こんなレースに挑戦できたこと、そして無事目標達成できたこと。自分にとってきっと大きな自信になったと思いますし、一緒に参加した仲間達のことを本当に誇りに思います♪
今年は、去年のつくばの後のバーンアウト、そして故障にと悩まされ、あまり結果の出せない1年でしたが、最後の最後に最高の結果を出せました♪
後は再来週の神宮外苑駅伝を目一杯楽しんで2010年を締めて、また2011年に向けて頑張っていきたいと思います。
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言葉にしたかったこと、すべてを言葉にしてくれた感じがします。
ほんとにいいレースでした。
たすきを受け取って
背中を押され、加速する。
この位置でもらったら
今度は俺の番
続けるしかない
途切らせるわけにはいかない
そのプラスの連鎖が
あとの5人に伝わり
今回の結果につながったんだと思います。
それだけに
1走の走りがすべての鍵をにぎっていました
ナイス・ラン!
(でも、これだけのプレッシャーはしばらくご遠慮しておきたいですね(^_^; 外苑では楽しんで走りましょう)
オーリンゲン
2010 年 12 月 5 日 23:38 posted by オーリンゲン
真琴くん、1走本当にお疲れさまでした!女子のスタート位置にいたので、皆さんの襷リレーの状態がまったく分からなかったのですが、本当にぎりぎりの状態で全力を出し切って頑張ったんだな~~~と読んでいてドキドキしてしまいました。本当に誰ひとり崩れることなく走り切っった達成感はすごいでしょうね!しばらくはのんびりお休みくださいね。
2010 年 12 月 6 日 17:13 posted by スワロ
>オーリンゲンさん
プラスの連鎖、日曜日は、みんなの想いが襷で確かにつながっていったのが本当に実感できました。
あの感覚だけは、実際にあの場にいないとなかなか分からないですね。駅伝は何度か走りましたけど、あれだけの感動を味わえたのは多分初めてです。お誘いいただき、本当にありがとうございました。
>スワロさん
誰1人崩れることなく最後まで襷をつなげたのは、サポート隊の皆様の力もかなり大きかったと思います。走る人も応援する人もサポートする人も、全員で勝ち取った感動だったと思いますし、だからこその達成感だったと思います。サポート隊、本当にありがとうございました。
2010 年 12 月 7 日 22:42 posted by 真琴