【ブックレビュー】筋トレ女子のマラソン人生
ランニング関連メディア(雑誌・本・etc)走った先に、この仲間たちの存在があったのです。もっと先の未来には、「このために走っていたんだ」という「何か」が見えてくるかもしれません
あとがきより
このたび私のラン仲間が本を上梓したとのことで、早速Amazonで注文して読んでみました。
ご本人いわく「正直言いまして、百戦練磨のベテランランナーである皆様には、何の役にも立ちません。『これから走ってみようかなぁ』とか『何かやってみようかなぁ』とか思っていらっしゃる方の入口くらいにはなるかもしれません。」とのこと。
学生時代も社会人になってからも運動はからっきし(今の姿しか知らない私にはとても信じがたい話ですが)だった彼女が、何故走り始めたのか、フルマラソンを完走できるようになるまでどんなトレーニングをしてきたか、そして各地の大会に参加しながら見て感じたことを四方山に綴った体験記。
シューズの履き方に頭を悩ませ、走り始めればすぐに脚を痛め、東京マラソンでハーフマラソンデビューをしようとして、大会ごとに開催される距離が違うことを初めて知り、ウェイト・トレーニングで弱点を克服しながら、ついにはフルマラソンを完走し、素晴らしき仲間との出会い(光栄にもわたくしもその末席に加えさせていただいております)と別れも経て、ときには昨今のマラソンブームの裏で低下するランナーのマナーに憂い、、、。そんなランニング生活の中で得たものとは?
本人の言う通り、『これから走ってみようかなぁ』とか『何かやってみようかなぁ』と感じている人たちには勇気を与えてくれることでしょう。
走っている人にとっては当たり前のことだけれど、初めて走ってみようという人がぶつかる壁について、自分の体験をもとに事細かに書かれています。シューズの紐の結び方から書かれているランニング本なんて、そうそうありません(^^)。
また、冒頭で自己申告している運動音痴っぷりは実に微笑ましい限り。そんな彼女がフルマラソンを走りきれるようになり、更には「仙台国際ハーフマラソン」という、何年か前までは厳しい参加制限タイムがあった大会の基準タイムを超えるにまで至ったという事実は、「自分にはムリ」と思っている人たちの背中を押してくれることでしょう。
では、我々のような(百戦錬磨かどうかはさておき(^^;))ある程度走ることに慣れたランナーにとっては?
意外にも(と言っては失礼ですが)、そんなランナーたちにとっても十分役立つ情報が載っていました。彼女は、走り始めこそ故障に悩まされたものの、ここ3年くらいは故障知らずとのこと。その根幹にあるのが、タイトルにもある通り日々実施している筋トレ、ウェイト・トレーニング。ちょっと全力で走るたびに故障ばかりしている私なんかは、ほんと見習わなければいけません(^^)。
そんな効果的なウェイト・トレーニングの方法、「最低限これだけでも!」といったあたりのことも書かれており、筋トレ嫌いの私にはとても役に立ちました。
マニアックなところでは、走り始める前や各レース前後のタイミングでの体組織データ(脂肪量、部位別筋肉量、骨量など)の比較も、他ではなかなかお目にかかることが出来ないデータなだけに、データ魔、分析マニアの方々が喜びそうです(^^)。
彼女は、我々と同じ一介の市民ランナーです。ランニングのトレーナーでもないし、文章を書くのが本職というわけでもない。なので文章には正直こなれていない部分はあるかもしれません(失礼! たぶん本人もこのブログ見ているのに(^^);)。
でも、だからこそ、そのひたむきな思いが胸に伝わってくる部分があると思います。
そんな彼女の座右の銘(?)は「あきらめない☆」。この本自体はランニングの体験記という形ですが、それはあくまでも一例であって、彼女がこの本で本当に伝えたかったのは、多分、このあとがきに書かれている言葉に集約されているんじゃないかな、と勝手に思っております。
「えぇ〜、私なんてできないよー」とか、「歳だから……」とか言う前に、まず一歩、踏み出してみませんか。それはなんでもいいんです。興味を持ったもの、きっかけがあったもの、友人に誘われたもの、な〜んでも。そして、ほんのちょっぴりだけ頑張って、続けてみませんか。踏み出した後には、必ず何かが見えてくるし、結果がついてきます。私はそう思っています。
私やお仲間たちにとっては、この本に書かれている内容の多くの同じ時間、同じ空間を共有しているので、思い入れが強く読めたのは当然で、その分、評価が甘くなっている部分は正直あると思います。
それでも、退屈な日常から一歩踏み出したい、でもその勇気がない、そんな人たちにも、そんな人たちにこそ読んで欲しい本だと思います。
もちろん、ランナーの皆様にとっても「あぁ自分も走り始めたときはそうだったなぁ」とか、「うんうん、わかるわかる」と初心に返って共感できることが多いと思います。走ることがマンネリしてしまってきて、走り始めた頃の気持ちを忘れた方も、この本を読んで、自分が走り始めたときのことを思い出してみませんか? きっと明日からまた、新鮮な気分で走り始められると思います。
あっ、ちなみに、裏表紙に使われている写真には、私も後ろ姿で(ちいさ〜く)登場させていただいています(笑)。
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